結論
LLMO対策で数字が早く動くのは既存サイトの改修です。実測では改修から2週間でAI経由の流入が動きました。新規制作は同じ早さでは出ません。
補足: ただし改修には越えられない天井があります。「早さ」だけで選ぶと、半年後に作り直すことになります。
なぜ改修のほうが早いのか
LLMO対策で最後に動く数字は被引用です。その手前には順番があり、新規制作と改修ではスタート地点が違います。
| 段階 | 既存サイトの改修 | 新規制作 |
|---|---|---|
| クローラに見つかる | 済んでいる | ゼロから |
| 検索に表示される | 済んでいる | 数週間〜 |
| 上位に入る | 今の順位から動かす | 評価の蓄積が要る |
| 出典に選ばれる | 上位に入れば候補になる | 同上 |
改修は途中の段階を飛ばせます。すでにインデックスされ、順位が付いているページの構造を直すので、効果がそのまま順位の変化として出ます。新規制作はドメインの評価を作るところから始まるため、同じ施策をしても数字が出るまでの距離が違います。
改修の実測2件 — どちらも短期で動いた
受発注管理SaaS — 改修から2週間でAI経由の流入が動いた
既存サイトにLLMOの実装を入れ、施策日の前2週間と後2週間をGA4で比較しました。
| 指標 | 施策前 2週間 | 施策後 2週間 |
|---|---|---|
| AI経由の流入ユーザー | 0 | 7 |
| 新規ユーザー | 19 | 66 |
読み方に注意が要ります。新規ユーザーの増加はLLMOの実装だけによるものとは言えません。同時期に他の要因が重なっていないことを証明していないためです。因果として扱えるのは「AI経由の流入が0件から発生した」という事実までです。
母数も小さい数字です。7件は傾向を示しますが、再現性を主張できる量ではありません。
マーケティング支援会社 — 改修から1ヶ月で表示回数が40%増えた
こちらも既存サイトの改修です。GA4とSearch Consoleで、施策前後の1ヶ月を比較しました。
| 指標 | 施策前 | 施策後 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 検索表示回数 | 1,501 | 2,107 | +40% |
| 順位が付いているキーワード数 | 48 | 82 | +71% |
これは中間集計で、確定値ではありません。期間も1ヶ月と短く、季節要因を分離できていません。
それでも、改修が短期で検索側の数字を動かすという点では2件が同じ方向を示しました。
新規制作でLLMO対策をすると、なぜ遅いのか
新規制作では、新しいドメインに評価の蓄積がありません。LLMO対策の構造をどれだけ正しく作っても、検索で上位に入るまでの時間は買えません。ここが改修との差になります。
AI検索の出典に選ばれるには、まずその質問の検索結果で候補に入る必要があります。生成AIは質問をそのまま検索せず、分解した複数のクエリで検索し、その結果を読んでから答えるためです。順位が下位のままでは、構造が正しくても読まれません。
つまり新規制作の場合、LLMOの実装が正しいかどうかと、数字が動くかどうかは、しばらくのあいだ別の話になります。
早さで劣る新規制作を、それでも選ぶのはどんなときか
改修は早い代わりに、越えられない天井があります。次の状態にあたると、LLMO対策として手を入れられる範囲が構造で頭打ちになります。
- 本文がJavaScriptで生成されていて、クローラが取得する時点では空に近い
- 1ページに論点が詰め込まれていて、質問と対応する見出しに分けられない
- テンプレートの都合で構造化データを正しく出せない
- 情報設計そのものが古く、部分的に直すと他の箇所と矛盾する
これらは部分的な手当てでは解けません。直そうとすると結局テンプレートごと作り直すことになり、改修の費用が新規制作に近づきます。
新規制作と改修、どちらを選ぶか
| 状況 | 選ぶもの | 理由 |
|---|---|---|
| 検索で順位が付いているページがある | 改修 | その評価を捨てない。最短で数字が動く |
| 本文がHTMLに出ている | 改修 | 構造の追加だけで済む |
| 本文がJSでしか出ない | 新規制作 | 取得できないものは直せない |
| 1ページに論点が詰まっている | 新規制作 | 分け方が情報設計の問題になる |
| サイト自体がこれから | 新規制作 | 最初から入れるほうが安い |
判断の順番としては、まず改修で足りるかを確かめます。早さで有利なうえ、既存の評価を捨てずに済むからです。新規制作に倒すのは、改修では越えられない理由があるときだけです。
この数字の読み方と限界
- 実測は2件です。業種も規模も違い、一般化できる量ではありません
- どちらも比較期間が2週間と1ヶ月で、季節要因を分離していません
- マーケティング支援会社の数字は中間集計で、確定値ではありません
- 「改修だから早かった」という因果は示していません。改修した2件で数字が動いた、という観測です
- 新規制作の側は、同じ条件で比較できる実測をまだ持っていません
最後の点が現時点での最大の弱点です。新規制作の実測が揃った時点で、この記事を更新します。