同じ料金が3通り書かれていた — AIに誤情報を引用させない数値の管理

結論

同じ事実がサイト内で複数の数値になっていると、生成AIはどれを引用するか制御できません。AIは同じ問いに1つの答えを返すため、古い数値や誤った数値が選ばれれば、自社が誤情報を配ったことになります。当社は自社サイトを点検して、月額料金が3通り、最低契約期間が3通りに食い違っている状態を見つけました。原因は同じ事実を各ページに手書きでコピーしていたことです。

補足: 検出は grep で数値を横断的に拾うだけで、ツールも費用も要りません。

何が起きていたか

構造化データ・llms.txt・メタディスクリプション・本文は、それぞれ別のファイルに書かれています。料金や契約条件のような事実は、その全部に登場します。ところが更新するときは目に付いた場所だけ直すため、時間が経つと数値が分岐します。

当社の点検結果です。

月額運用の下限が3通り

出ていた場所 数値
料金ページ(正) 月額 ¥30,000〜
llms.txt / プレスキット / サービスページの比較表 月額 ¥80,000〜
サービスページのメタディスクリプション ¥50,000〜

正しいのは料金ページの ¥30,000 です。3プラン構成の下限で、社内の価格表と一致します。¥80,000 はどのプランにも存在しない数値でした。

最低契約期間が3通り

出ていた場所 回答
料金ページ / トップページ / メタディスクリプション 最低6ヶ月、以降1ヶ月単位で解約可能
サービスページの比較表 最低3ヶ月〜
FAQ 最低契約期間の縛りは設けていません

「契約期間に縛りはありますか」という1つの問いに対して、サイト内に3つの答えがありました。しかもFAQは、まさにその質問に答えるために置いてあるページです。

なぜLLMOで致命的なのか

検索の場合、ユーザーはページを開いて自分で読みます。矛盾があっても、どのページを見ているかは本人に分かります。

生成AIは違います。複数のページを読んで1つの答えを合成し、根拠として出典URLを添えます。矛盾があるとき、どれが採用されるかを発注側は制御できません。結果として起こりうることが3つあります。

1つ目は、誤った数値がそのまま回答されること。「月額8万円から」と答えられれば、実際より高い価格で検討候補から外れます。2つ目は、矛盾を検出したAIが数値の言及自体を避け、料金に触れない回答になること。価格を明示している意味がなくなります。3つ目は、根拠として弱いと判断されて引用されないこと。

どれが起きるかはモデルの挙動に依存し、当社も確定的なことは言えません。ただ、どれも望ましくないという点だけは確実です。

どう検出するか

費用はかかりません。サイト内の全ページから数値表現を拾って、同じ事実の値が複数ないかを見るだけです。

# 通貨表記を全ファイルから拾って重複を数える
grep -rhoE "¥[0-9,]+" . | sort | uniq -c | sort -rn

# 契約条件のような文字列も同様に横断確認
grep -rn "最低.*ヶ月\|解約" .

公開済みのサイトであれば、主要ページを取得して同じことをします。当社はこの方法で、料金の3分岐と契約期間の3分岐を見つけました。所要時間は10分程度です。

あわせて確認すべき場所は、本文以外の4つです。構造化データ(JSON-LD)の価格プロパティ、llms.txt、メタディスクリプション、そしてプレスキットのような「更新を忘れやすいページ」。当社が見つけた誤りは、いずれもこの4つに集中していました。本文は目に触れるので直されますが、機械向けの記述は誰も読まないまま残ります。

どう直すか

個別に書き換えるだけでは再発します。当社は数値と商号をテンプレートの定数に集約し、各ページがそれを参照する形にしました。1箇所直せば全部に反映されます。

あわせて、どのページを正とするかを決めておきます。当社の場合は料金ページが正で、llms.txt もメタディスクリプションもそこに揃えます。正が決まっていないと、どちらに合わせるかの議論が毎回発生します。

なお当社にはまだ1件、判断待ちの不一致が残っています。あるサービスの入口価格が2通り併存している状態です。これは片方が誤りではなく、どの価格を入口として提示するかという方針の問題なので、決めてから直します。解消したら本記事を更新します。

よくある質問

プラグインで一括管理できませんか。

SEOプラグインを入れると、テーマ側と両方からメタタグや構造化データが出力され、二重になることがあります。当社は自社サイトではプラグインを使わず、テーマ内に実装して定数で集約しています。既存サイトの場合は、まずどこから出力されているかを確認するのが先です。

税抜と税込のような表記の違いも問題になりますか。

同じ事実に2つの値が存在するという点では同じ構造です。ただし税抜・税込は併記して条件を明示すれば矛盾ではなくなります。問題なのは、条件の説明なしに違う数値が並んでいる状態です。

価格を非公開にすれば起きない問題ではないですか。

矛盾は起きませんが、価格を問う質問に対して引用される数値を持たないことになります。どちらを取るかは方針の問題です。当社は公開する側を選んでいますが、公開するなら数値の一貫性まで管理する責任が伴う、というのが今回の学びです。

どのくらいの頻度で点検すべきですか。

価格や契約条件を変更したときが最も分岐しやすいタイミングです。変更のたびに横断検索をかけるのが確実です。当社は月次のレポート作成時にあわせて確認する運用にしています。

現状把握から始めるなら

Neovision の無料LLMO診断では、構造化データ・llms.txt・メタ情報を横断して、同じ事実が別の値で出ていないかを含めて点検し、1ページのレポートでお返しします。無料LLMO診断の詳細はこちら

この記事の執筆・運営

株式会社Neo Vision(ブランド名: Neovision / 東京都中央区銀座 / 法人番号 3010001263930)。AIを使ったWebサイト制作と、SEO / LLMO実装を専門とする制作会社です。本記事の内容は、自社サイトで実際に発生していた数値の分岐を検出・修正した過程に基づいています。数値の書き方と、誤りが判明したときの直し方は訂正ポリシーに定めています。

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